老後のお金について、実際のところは現状はどうなのか、そしてこの先20年でどう変化するかを予測して、必要な老後資金として、どの程度の金額を用意したらよいのかシミュレーションしてきた。
厚生労働省は、ようやく、2019(令和元)年の将来の公的年金の財政見通し(財政検証)を発表した(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/index.html)。
いくつかのシミュレーションがなされているが、前回の平成26年の財政検証の時よりも、経済の実態とのかい離が大きくなった印象がある。
これまで行ってきた自分のシミュレーションで前提とした仮定よりも、さらに厳しい状況である。より厳しい状況を仮定してシミュレーションすると、実質的に準備できない老後資金が必要という試算結果にならざるを得ない。
そうなると、自助努力では解決できないことになり、昔の言葉で言えば、パラダイム・シフトせざるを得ない、つまり、世の中の仕組みや価値観が変わらざるを得ないのではないかと思う。
フィナンシャル・プランナーの人たちは、2019年財政検証の結果をどう見ているのだろうか?
これまで通り、将来変化を考慮しないシミュレーションをするのだろうか?
必要以上に将来を不安に思う必要はないと思うが、政府発表もフィナンシャル・プランナーの人たちのシミュレーションも、そして新聞などのマスコミも、結論やタイトルだけを見るのではなく、どんな前提条件を置いて出された結論なのかを丁寧に見ておく必要がある。
極端に言えば、前提の置き方次第で、思い通りの結論を出すことができる。
しかし、今の日本では、その極端に近づいているのではないかと感じる。自分の身は自分で守る時代になっているのをひしひしと感じる。
最後に、”老後のお金”について、これまで書いてきたもののタイトルの一覧をまとめた。
1.老後のお金の不安 人気フィナンシャルプランナーの計算方法 その1
2.老後のお金の不安 人気フィナンシャルプランナーの計算方法 その1 続き
3.老後のお金の不安 人気フィナンシャルプランナーの計算方法 その2
4.老後のお金の不安 人気フィナンシャルプランナーの計算方法 その3
5.老後のお金の不安 フィナンシャルプランナーの考え方を信用してよいか?
6.老後のお金の不安 フィナンシャルプランナーの考え方を信用してよいか?(続き)
7.老後のお金の不安 ~巷の3500万円の根拠~ 老後資金の計算方法は?
8.老後のお金の不安;寿命 ~男性90歳・女性95歳~ 人生100年時代は本当に来るのか?
9.老後のお金の不安;今二人暮らしでも、一人暮らし8年は覚悟した方がいい?
10.老後のお金の不安;現在の一人あたりの厚生年金額は、男性17万円、女性10万円
11.老後のお金の不安;現在の世帯当たりの年金収入 ~手取り19万円~
12.老後のお金の不安;将来の年金、1割減額で済むか?(厚生労働省の平成26年財政検証)
13.老後のお金の不安;将来の年金制度(1)~受給開始年齢68歳、70歳まで働かなければならない?~
14.老後のお金の不安;将来の年金制度(2)~支給開始年齢引上げ~
15.老後のお金の不安;最低でも介護費用500万円は見ておいた方がよい。
16.老後のお金の不安;介護費用には自分だけでなく親の分も考えておく
17.老後のお金の不安;老後資金不足を補う資産 ~貯蓄、退職金~
19.とりあえずエクセルで簡易シミュレーションしてみたら、必要老後資金は2500万円だった。
20.将来の年金減額や税などの負担増加を考慮して、老後資金をシミュレーションしてみた
21.老後のお金の不安 ~一人暮らしを想定して老後資金をシミュレーションしてみた~
23.『年金だけでも暮らせます』という本に書かれている年金の話
24.『年金だけでも暮らせます』という本に書かれている医療費の話
25.『年金だけでも暮らせます』という本に書かれている介護費用の話
26.節約したら、2000万円の貯蓄無しで、年金だけで暮らせるか検証してみた。