老後資金の心配に対するフィナンシャルプランナーの回答に、「老後は平均しても25年、30年と長い時間を過ごします。・・・それを考慮しても、資金的には安心できる内容だと考えます。」とある。そんな長い期間の収支を加減乗除の算数で本当に判断できるのか、本当に安心できるのかと思ってしまう。
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深野さんの回答は、恐らく、以下のような収支計算を根拠としていると思われる。
前回での人気フィナンシャルプランナーの回答は、現在の生活費は年金収入を超えて赤字、だが100歳まで生きても、計算上、十分な資産があり不安に思う必要はないと明快だった。
(https://mfworks.info/2018/09/09/post-131/)。
しかし、私には計算の根拠が適切かどうか不安に思える。
深野さんの回答は、恐らく、以下のような収支計算を根拠としていると思われる。
60歳~64歳の間、5年間で、
収入517万円-支出1476万円(295.2万円×5)
=-959万円(赤字)
65歳~75歳の間、年間で、
収入402万円-支出295.2万円
=106.8万円(黒字)
76歳~100歳の間の24年間、年間で
収入282万円-支出295.2万円
=-13.2万円(赤字、ただし回答の数字とは違った)。
回答は、
「老後は平均しても25年、30年と長い時間を過ごします。
その間、大病をしたり、要介護になるというリスクも、当然抱えているでしょう。
したがって、先の試算も途中、それなりの大きな支出をともなうかもしれません。
しかし、それを考慮しても、資金的には安心できる内容だと考えます。」
と結んでいる。
確かに計算上はそうなるかもしれませんが、示された数字を計算する前提条件が気になります。
30年間のお金の計算が、上に書いた私の考え方でよいとしたら、単純な加減乗除だけの算数で判断していることになる。
あまりにも単純すぎるのではないか? 今の収支計算や資産価値は、今後30年間変化しないことを前提にしていることになるのではないか?と感じます。
「2人とも100歳まで生きたとしても」、保有資産が十分あるので、そうした心配はいらないのかもしれませんが、収入が年金だけだとすると、年金額が下げられた場合でも大丈夫なのか?
年金額が100歳まで今と同じだとは思えないのだが、そのことが考慮されていないことに不安を覚えます。
深野さんの発言として(http://diamond.jp/articles/-/83794)、
「長寿社会の現在、親の介護をどう乗り越えるかが重要です。
仕事を減らさざるを得ない状況に、教育費や住宅ローンが重なると相当きつい。住む場所の選び⽅ひとつとっても、先を⾒越して考えられるかどうかで⼤きく違ってきます」がある。
そうなると、親のこともあるし、自分自身や妻の心身状態によっては、シミュレーションにはない介護や住宅改修の費用が大きくなって、保有資産でも不足しないか気になってくる。
また、老後の収入について、深野さんのアドバイスに次のようなものがある。
“老後を乗り切るカギは「人的資本」 健康で働ける力、⻑く保つ”というタイトルの記事もあった(https://www.asahi.com/relife/special/articlemoney/11205811)。
“人的資本とは、簡単に言えば「健康で働くことができる力」”との説明があり、
「働く力があれば収入を得られるので、老後までに積み上げるべきお金は少なくてすみます。(中略)
大事なのはお金の準備より、誰もが持つ人的資本を損なわないようにすることです。
人的資本を衰えさせずにいかに年齢を重ねるか。これが万人に共通の老後の準備ではないか、と思えてなりません。」と説明されている。
「人的資本」をどう準備していくのか、
その具体的な方法論の説明がないと単にできるだけ長く働きなさい、そうすればお金の心配が減りますよと言っているようにも受け取れて、老後もずっと働かないといけないのかと憂鬱に思いました。
読んでいただき、ありがとうございます。
最後に元気になる1曲、マレーシアのJoyce Chu(四葉草、中国名)の「好想你」。
マレーシアの首相は、今年93歳のマハティール・ビン・モハマド。1年前にマレーシアに遊びに行ったが、首都クアラルンプールの屋台での食事は美味。夜中の街のそこここでストリート・ミュージシャンが歌い、その周りには若者が溢れていた。
「好想你」は中国語、英語タイトルは “I miss you”。
Joyce Chu 「好想你」