老後資金を計算する場合に、寿命を設定しなければならないが、夫婦の場合、自分の寿命とともに、配偶者の寿命を設定する必要がある。男女寿命差は６年、初婚年齢差は２歳。寿命差６年と夫婦年齢差２年を足すと女性の一人暮らしが８年間あるということになる。今、６５歳以上の男１割、女２割は一人暮らし、２０４０年には、男２割、女２．５割の予測。一人暮らし対策も必要。

日経スタイルと週刊朝日の記事では、生涯二人暮らしが継続するという前提の老後資産の計算になっているようである（https://mfworks.info/2018/10/25/post-139/）。

前回は、平均寿命について調べた結果を紹介した（https://mfworks.info/2018/11/02/post-141/）。

夫の年齢と妻の年齢差は様々であるので、「生涯二人暮らし」という前提を置かなければ計算ができなくなってしまうという事情もあると思われる。しかし、実際には、二人の寿命の違いによって、一人暮らしの期間がどうしてもできてしまう。

Contents

1 一人暮らしの期間は、どのくらい見積もればよいだろうか？
2 実際に一人暮らしの老後を送っている人は、どのくらいいるのだろうか？
3 最後に１曲、Newwyの「はじめてのチュウ」

一人暮らしの期間は、どのくらい見積もればよいだろうか？

まず、男女の平均寿命の差はどの位だろうか？

平成２９年簡易生命表による平均余命は、男性の平均寿命は８１．０９年、女性の平均寿命は８７．２６年である。寿命中位数は、男性８４．０８年、女性９０．０３年となっている。また、「悪性新生物、心疾患及び脳血管疾患」を除去した場合の平均余命の延びは、７５歳では男女とも約４年、９０歳でも男女とも約２年と同じである。

（平成２９年簡易生命表の概況　平均余命　https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life17/index.html）。

そうなると、男女の寿命には、６年差があると見ることができる。

では、将来の寿命予測から見た場合にはどうだろうか？

「日本の将来推計人口（平成 29 年推計）平成 28(2016)年～平成 77(2065)年」

（http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_gaiyou.pdf）の予測によると、標準的な将来生命表（死亡中位）で、

２０４０年には、男性８３．２７年、女性８９．８３年（男女差約６年）、

２０６５年には、男性８４．９５年、女性９１．３５年（男女差約６年）

と記載されており、将来にわたっても男女の寿命差６年の状況が続くと見てよいようである。

そうなると、女性の一人暮らしの期間を設定して老後資金を計算するのが適切のように思えてくる。夫婦同じ年であれば、一人暮らし６年間となるが、個々の家庭の事情によって違ってくることになる。

男女の初婚年齢を調べたところ、男性 31.1 歳、女性 29.4 歳で約２歳の年齢差がある（平成28 年人口動態統計月報年計(概数）の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai16/dl/gaikyou28.pdf）。

単純に、寿命の差６年に、初婚時の年齢差２年を加えると、女性の一人暮らしの期間は、８年間となる。

実際に一人暮らしの老後を送っている人は、どのくらいいるのだろうか？

平成３０年版高齢社会白書（全体版）（PDF版）（http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/zenbun/30pdf_index.html）によると、平成２７（２０１５）年では、男性約１９２万人、女性約４００万人が一人暮らしで、６５歳以上人口に占める割合は男性１３．３％、女性２１．１％となっている。

そして、「６５歳以上の一人暮らしの者の増加は男女ともに顕著」であって、将来の推計値は、

２０２０年　男性１５．５％、女性２２．４％、

２０３０年　男性１８．２％、女性２３．９％、

２０４０年　男性２０．８％、女性２４．５％、

となっている。

６５歳以上の年代別のデータが入手できれば、より正確に一人暮らしになる確率を知ることができるが、いずれにしても老後資金の計算には、女性一人となった場合の年金収入の減少を考えると、少なくとも女性の一人暮らしの期間を最初から考慮すべきと思う。

読んでいただき、ありがとうございます。