18.老後のお金の不安;毎月の生活費はいくらかかるか?

必要な老後資金を計算するために、老後の主収入である年金の現状と先行きについて紹介した。一方の支出については、今後大きなウエートを占める可能性が高い介護費用、老後資金不足を補う貯蓄と退職金についての現状を紹介してきた (https://mfworks.info/2018/11/16/post-150/ https://mfworks.info/2018/12/20/post-593/ https://mfworks.info/2019/01/04/post-791/ https://mfworks.info/2019/01/19/post-146/ https://mfworks.info/2019/01/31/post-646/ https://mfworks.info/2019/02/16/post-168/)。

ところで、普通に老後の生活をしていくためには、本当のところ、いったいどのくらいのお金が不足するのだろうか?

老後生活に入った時に、まず考えるのは、年金で日々の生活費をどの程度賄えるだろうかという不安である。

不安を解消するためには、老後の生活費として、まずは、毎月どのくらいのお金が出ていくのか知りたくなる。

「家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要―」(http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/index.html)では、二人以上の世帯のうち無職世帯(平均世帯人員2.41人、世帯主の平均年齢73.7歳)の消費支出は23万7619円となっている(http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/pdf/gy01.pdf)。

もう少し詳しく見てみよう。

上記資料には、「高齢夫婦無職世帯」を「夫65歳以上,妻60 歳以上の夫婦のみの無職世帯」と定義し、支出の内訳は、非消費支出28,240円(税金、社会保険料など)、消費支出235,477円、支出の合計は263,717円となる。

一方、実収入209,198円、支出が多いので、毎月の不足額は54,519円と書かれている(http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/pdf/gy02.pdf)。

一般的な老後資金計算では、上記の数字をもとに必要資金を計算しているようである。

消費支出235,477円、この金額でどの程度の生活ができるのだろうか?

消費支出の内訳は、下表のようである(http://www.stat.go.jp/data/topics/topi1034.html)。

項目 消費支出中に占める割合
食料 28.2%
住居 5.7%
光熱・水道 8.5%
家具・家事用品 3.9%
被服及び履物 3.0%
保健医療 6.1%
交通・通信 11.4%
教育 0.2%
教養娯楽 10.2%
その他の消費支出 22.7%(うち

交際費10.5%)

世帯主が65歳未満の世帯と比較すると、「高齢夫婦無職世帯」の「食費」や「住居」「光熱・水道」は、ほぼ同じである(金額はそれぞれ、70,192円、14,262円、21,201円)。

一方、

「保健医療」(金額15,256円)は約1.4倍、うち「健康保持用摂取品」が約2.3倍(金額1,874円)と、健康の維持・増進のため保健医療に費やす支出割合が高い。

また、「その他の消費支出」のうち、「交際費」(世帯外の人への贈答品・祝い金、接待用支出や職場、地域などにおける諸会費及び負担費)が約1.6倍多い(金額26,251円)。

逆に、「交通・通信」(金額28,390円)は少なくなっている。そして、「教育」は子育てが終わっているためか、実質ゼロ(金額548円)である。

高齢者世帯の生活の基礎となる項目の費用(基礎的支出)は、世帯主が65歳未満の世帯と大きな違いはないことから、上記高齢者世帯の支出235,477円でそれなりの生活レベルが維持できると思われる。(なお、http://www.stat.go.jp/data/topics/topi1034.htmlに記載されている消費支出は249,063円と上記支出額よりも多い金額となっている)

毎月の不足額5万円で老後資金を計算すればよいのか?

世帯主65歳以上と、65歳未満の世帯とでは、消費支出の中身が異なっていた。

それなら、65歳以上の高齢者と一口に言っても、例えば、65歳と75歳との間でも、ライフスタイルが変わるだろうし、当然、消費支出も変化するはずである。

「家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要―」(http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/index.html)では、消費支出を、基礎的支出(必需品的なもの、食料,家賃,光熱費,保健医療サービスなど)と、選択的支出(贅沢品的なもの、教育費,教養娯楽用耐久財,月謝など)に分けている。

基礎的支出の割合は、60~69歳の世帯で62.9%、70歳以上の世帯で71.6%と、年齢が高い方が基礎的支出の割合が高くなっている。

二人以上の世帯の消費支出を世帯主の年齢階級別に詳しく書かれた資料がある(http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/pdf/gy02.pdf)。

それによると,60~69歳の世帯の消費支出は1世帯当たり1か月平均29万84円、一方、70歳以上の世帯では23万4628円、年齢が高い方が消費支出は少なかった。

ちなみに、消費支出の減少は、食料(約-8,000円)、交通・通信(約-20,000円)、教養・娯楽(約-6,000円)が主なものである。

実収入や黒字率(実際は赤字率)も公開されているので、関連項目とともに抜粋してみた(http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/pdf/gy02.pdf)。

世帯主年齢(歳) 65~69 70~74 75以上
世帯人員 2.55 2.38 2.33
世帯主の年齢 67.2 72.1 80.0
実収入(円) 221,438 206,652 201,024
社会保障給付(円) 180,872 182,596 180,734
非消費支出(円) 32,016 29,292 24,747
可処分所得(円) 189,422 177,360 176,277
消費支出(円) 264,661 243,416 214,151
黒字(円) -75,239 -66,056 -38,874
黒字率 -39.7 -37.2 -22.1

65~69歳と比較すると、75歳以上では、実収入や可処分所得も減るが、消費支出が変化し、収入減以上に支出が大きく減るため、毎月の赤字額は約36,000円減っている。

前に紹介した日経スタイルの計算では支出を約28万円(https://style.nikkei.com/article/DGXMZO04993620Z10C16A7945M01)、週刊朝日の計算では年間取り崩し額5万4711円(週刊朝日 2017年12月1日号 https://dot.asahi.com/wa/2017112200005.html)をもとにして、必要な老後資金の計算をしている。

しかし、上表からは、年齢が高くなるにつれ、消費支出の金額が低下し、それに伴い、月々の赤字額も減少する。年齢が高くなるほど支出額は減る。

必要な老後資金を計算する場合、平均値で計算するのではなく、年齢を考慮すれば、想定赤字額はもう少し低く設定してよいかもしれないと思う。

仮に、70歳~90歳までの20年間、毎月の赤字額が2万円減れば、年間で24万円、20年間では480万円、必要な老後資金が減ることになる。

読んでいただき、ありがとうございます。

最後に一曲、黃明志(Namewee)の“Tokyo Bon 東京盆踊り2020 (Makudonarudo) ”

黃明志(Namewee)は、マレーシアのタレント。

彼のFACEBOOKのフォロワーは、200万人(https://www.facebook.com/namewee/)。

“Tokyo Bon 東京盆踊り2020 (Makudonarudo) ”は、外国人旅行者から見た日本が盛り沢山、楽しく描かれている。YouTubeの視聴数は5,000万回を超えている。

Tokyo Bon 東京盆踊り2020 黃明志(Namewee)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

error: Content is protected !!