16.老後のお金の不安;介護費用には自分だけでなく親の分も考えておく

老後資金を考える時、子供のことは考えるが、自分の親にかかる費用は考慮されない。 しかし、人生100年時代を生きているのは、親も同じ。自分のことを考える前に親の介護費用をどうするかが問題になることもあり得る。

介護の資料から見ると、現在の75歳以上の10人に1人が自力歩行が困難。その場合には自宅での自立生活が難しくなる。自宅介護と施設入居の選択になるが、親の蓄えが十分でないと、いずれにしても子供の大きな負担になる

前回(https://mfworks.info/2019/01/19/post-146/)に続いて、介護費用を考えてみる。

「要介護」の中でも、「立ち上がりや歩行などが自力でできない」要介護度3・4・5では自宅での生活は困難になり、必然的に施設の利用を考える必要が出てくる。

日経スタイルの記事には、要介護状態になって施設入居が必要になった場合、介護付き有料老人ホームの費用として、「入居一時金と、平均で5年程度の費用を合わせると2000万円程度必要なケースも多い」と書かれている(https://dot.asahi.com/wa/2018022100017.html)。

また、週刊朝日の“「死に方格差」の現実 65歳時点の貯蓄額で試算した!”

https://dot.asahi.com/wa/2018022100017.html?page=1)というタイトルの記事には、「貯蓄額別にみた終のすみかの選択肢」という表(http://www.asyura2.com/18/hasan126/msg/205.html)があり、「介護付き有料老人ホーム」の場合、入居一時金300万円、月費用24万前後がかかり、65歳時点で必要な貯蓄額の目安が2000万円以上となっている。

老後資金として、施設入居も想定しておかなければならないとしたら、3000万円や3500万円の老後資金では不足するのではないかと不安になる。

施設入居が必要になる確率はどの位だろうか?

平成27(2015)年の介護保険制度における65歳以上の要介護度別認定者数を見ると、全認定者606.8万人のうち、要介護3、要介護4、最も重い要介護5の合計は210.3万人(約35%の割合)ということである。

75歳以上での介護保険制度で要介護等の認定を受けた人が全体の1/3、このうちの約1/3が要介護3以上とすれば、75歳以上の人の10人に1人の確率で「施設利用」の必要が出てくるということになる。

「施設利用」の期間は、要介護3以上からが入所条件となる介護老人福祉施設の場合、平均入所期間は約4年(3年11カ月)であり、介護老人福祉施設の退所者の70%以上が死亡を理由として退所しているということである。

ニーズに応じたサービス内容の見直し(③安心して暮らすための環境の整備)(参考資料)

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000135323.pdf

社保審-介護給付費分科会第143回(H29.7.19) 参考資料2介護老人福祉施設(参考資料)

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000171814.pdf

平成 25年度 有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅に関する実態調査

http://www.yurokyo.or.jp/investigate/pdf/report_h25_01.pdf

施設入居費用をどうするか?

そうなると、施設入居の資金も考えておく必要がある。

ただし、一人暮らしだった場合には、住まいを自宅から施設に移すことになり、それまでの自宅での生活費はかなり減るはずである。

つまり、自宅での生活費と施設での入居費との差額、

“(自宅での生活費)-(施設での入居費)”が、必要老後資金として追加される。

「平成30年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)」の「高齢化の暮らしの動向」の「健康・福祉」には、「必要になった場合の介護費用についての意識」調査の結果が載せられている。

80歳以上の人の意識調査の結果は、「年金等の収入でまかなう」がトップで68.6%、「貯蓄でまかなう」が12.8%、「特に考えていない」が7.4%、「子などの家族・親戚からの経済的な援助を受けることになると思う」が6.8%、「収入や貯蓄ではまかなえないが、資産を売却するなどして自分でまかなう」が3.4%の順となっている。

しかし、施設入居しなければならなくなった場合の毎月の費用が、週刊朝日の記事のように月24万とすれば、年金収入だけでは不足することは明らかである。

介護が必要になった時、調査では、「自宅で介護を受けたい人の割合」は73.5%にも上るという結果だった。

「自宅で介護を受けたい」とは、「自宅で家族中心に介護を受けたい」、「自宅で家族の介護と外部の介護サービスを組み合わせて介護を受けたい」、「家族に依存せずに生活ができるような介護サービスがあれば自宅で介護を受けたい」の3つを意味している。

しかし、自宅で介護を受けるとしても、介護保険制度のサービスの費用はかかるし、介護サービスで日常生活のすべてのことをカバーすることは難しいので、必然的に、家族の誰かがの介護が必要になる。

自分の介護費用もだが、親の収入や貯蓄次第では、親の介護費用や施設入居費用を補助する必要が出てくる場合や、施設入居できない場合は介護や看護の理由により離職する可能性も見込む必要が出てくるしれない。

そう考えていくと、自分の介護費用の前に、親の介護費用も、自分の老後資金の計算に含めて考えておく必要があるように思えてくる。

読んでいただき、ありがとうございます。

最後に1曲、”ONE OK ROCK”の”The Beginning”

”ONE OK ROCK”は、いわずと知れた日本を代表するロックグループ

http://www.oneokrock.com/jp/)。

”The Beginning”は、映画『るろうに剣心』の主題歌。

ONE OK ROCK – The Beginning

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

error: Content is protected !!