お金の専門家は、年金で生活できるようにしなさいとアドバイスするが、今後も年金制度は大丈夫との理由になかなか納得できない。年金支給額が下がり、かつ、差し引かれる社会保険料が増額され、手取額で見ると、大幅に減額される可能性が高いのではないだろうか。
年金制度は、この先も大丈夫でしょうか?
年金がどのくらいの金額になるのか、年金だけで生活できるのか、現在66歳と仮定して、以前に自分で試算したことがあります(21 老後のお金の不安~一人暮らしを想定して老後資金をシミュレーションしてみた~ https://mfworks.info/2019/04/17/post-1106/
26 節約したら、2000万円の貯蓄無しで、年金だけで暮らせるか検証してみた。
https://mfworks.info/2019/07/03/post-1374/)。
結論は、現時点では年金だけで生活できると思われましたが、将来の社会変化を考慮すると難しいという結論でした。
しかし、老後のお金の専門家の考え方は違うようです。
荻原博子さんの『年金だけでも暮らせます』という本は、まさにタイトル通りで、年金で暮らせるという結論になっています(22.『年金だけでも暮らせます』という不思議な本を見つけた https://mfworks.info/2019/04/25/post-1269/
最近読んだ大江秀樹さんの本、『資産寿命 人生100年時代の「お金の長寿術」』(https://www.amazon.co.jp/%E8%B3%87%E7%94%A3%E5%AF%BF%E5%91%BD-%E4%BA%BA%E7%94%9F100%E5%B9%B4%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E3%80%8C%E3%81%8A%E9%87%91%E3%81%AE%E9%95%B7%E5%AF%BF%E8%A1%93%E3%80%8D-%E6%9C%9D%E6%97%A5%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%A4%A7%E6%B1%9F-%E8%8B%B1%E6%A8%B9/dp/4022950528)は、
私の理解では、年金で生活費を賄い、一方で、できるだけ長く働き、生活を楽しむことに使う費用は働くことで得られた収入の範囲内とするようにして、持っている資産の減少を抑えて資産の寿命を延ばすことを考えなさいという趣旨で書かれていると思われました。
荻原さんと大江さんの考え方には、年金でかなりの生活費を賄えるという同じような考え方があるように思われました。
専門家が言っている年金制度が大丈夫な根拠
お二人でその根拠として挙げられている理由は、2つに集約できるように思われます。
- 年金制度は簡単になくなる制度ではない
- 制度崩壊を防ぐ仕組みや取組がなされている
“年金制度はなくならない”について
簡単になくならない理由として挙げられているのは、次のようなことだと思います。
(1)年金は、積立方式でなく、賦課方式なので、現役の人が払い込んだが資金源になっている。毎年毎年、収入があるから、すぐに年金資金が底をつくわけでない。
(2)年金支給額を調整する仕組みや、年金加入者の増加(負担者の増加)、将来的には年金支給年齢の高齢化など、年金制度維持のための施策が打たれている。
確かに上に書いた理由で年金制度はこの先も維持されていくかもしれませんが、気になるのは、年金の支給額です。
お二人とも、将来の年金支給水準は、国の試算によれば、それほど落ち込まないとのお考えのようです。
これらの点については、以前、自分で検討したことがあります。
23.『年金だけでも暮らせます』という本に書かれている年金の話
https://mfworks.info/2019/05/12/post-1342/
12.老後のお金の不安;将来の年金、1割減額で済むか?(厚生労働省の平成26年財政検証) https://mfworks.info/2018/11/30/post-170/
13.老後のお金の不安;将来の年金制度(1)~受給開始年齢68歳、70歳まで働かなければならない?~ https://mfworks.info/2018/12/20/post-593/
14.老後のお金の不安;将来の年金制度(2)~支給開始年齢引上げ~
https://mfworks.info/2019/01/04/post-791/
私の考えでは、国の将来年金額の試算は、ありえないと思われるほど高い経済成長率を前提している計算で実際にそうなる可能性は非常に低いと思います。
また、国は、給付水準をあるレベル以上にすることを保証していますが、それは額面での話で、手取額が保障されている訳ではありません。
手取額は社会保障費など増加で、これまで大きくダウンしているということです。
3.老後のお金の不安 人気フィナンシャルプランナーの計算方法 その2
https://mfworks.info/2018/09/27/post-133/
医療や介護の社会保障制度はなくならないでしょうが、今後、高齢者がさらに増加することを考えると、制度を維持していくために、年金から差し引かれる社会保険料はさらに増加すると考えておいた方が妥当ではないでしょうか。
年金支給額は額面では一定レベルが確保できるかもしれませんが、手取額で見た場合には、将来大幅にダウンすることを覚悟しておいた方がよいと思います。
最後に1曲、いきものがたりの”SAKURA”。
いきものがかり ”SAKURA”