”人は誰でも最後は一人” ~今から数年先だけ、具体的に考えることで本当によいのか~ 

最近発売された「ひとり老後、賢く楽しむ」という本を読み、ひとり老後を考える上で参考になることが多かったが、2つだけ、疑問に思ったことがあった。その一つは、老いについて、今から数年先だけ具体的に考えるという考え方だ。自分が”ボケる”ことを考慮すれば、”ボケ”る数年前から、老後対策をスタートしておくべきと思った。

「ひとり老後、賢く楽しむ」という本で疑問を感じたこと

20年後には65歳以上の半数近くが一人暮らしになるという予測がある。誰でも老後は一人暮らしになることを想定せざるを得ない時代になった。

最近発売された、岸本葉子さんの「ひとり老後、賢く楽しむ」という本を読み、なるほどと納得できることが多かったが、2つだけ、疑問に思ったことがあった。

それは、老いについて、今から数年先だけ具体的に考えるという考え方と、もう一つは、パートナーを亡くした後の残された方の不安は大きいという点だった。

老いについて、”「今から数年先」だけ、具体的に考える”という考え方は、一つは、老後資金を相談したファイナンシャルプランナーの考え方、”老後は人生の残りの一割と考えて、守りに入りすぎない”という考え方に影響されていると思った。

フィナンシャルプランナーの話の部分をそのまま引用すると、”90年の人生があるとすると、81歳ぐらいまでが現役で行くのがバランスとしていい。「残り一割が老後」というふうに考えましょうと言われました。”、また、”世の中の変わるスピードに、いかにしてついていくか。迎合せずに、自分の強みを活かして働き、社会にも還元していく。そういうサイクルみたいなものを作っていくこと。「備えなければ」という気持ちだけだと、人生をつまらなくしてしまうと言われました。”、そして、”老後は人生の残りの一割と考えて、守りに入りすぎない”と結論されている。

上記したのはお金に関する考え方だが、別の個所では、老いについても、”「今から数年先」だけ、具体的に考える”と書かれている。

エピソードとして、トイレの話が以下のように書かれている。

“私は50代にして一人でトイレに行けなくなることを考えているけどもそんなに早くから心配しなくてもいいのかもと思いました。”

そして、老後について、”先々は変わり得る、想像しきれない部分もある」というスタンスを併せ持っておくのが健全のように思います。”と結んでいる。

 

著者の言われるように、数年先だけ考える方が現実的です。

60歳になった時に、90歳になった時の自分と世の中を想定し、その準備をしようとすることは、そもそも30年先を予想することは難しいことだから、著者の考え方は妥当と思われる。

しかし、誰にでも老いがやってくることははっきりしている。

誰もが81歳まで現役で行くことができれば、それこそ数年先だけ考えていればなんとかなるだろうが、現実はなかなか難しいと思う。

数年先だけ具体的に考えればよいとか、81歳まで現役で行くことを目指すのかとなると、私には、そういう風に考えられる自信はない。

その理由は、老いてくると、“ボケる”ことと、“行動力”が衰えることの2つのリスクがあると思うからである。

 

80歳に超えると、死亡原因の上位5番目に“老衰”が入ってきます。

80歳で老衰で亡くなる方が多いということは、平均的には、70代後半になると、自分で、自分の老後の準備はある程度考えておいた方がよいと思われる。

一方で、70代後半になると、“老い”が現実のものとなることも意味している。

“老いる”と、平均的には、”世の中の変化”や変化の”スピード”についていくころが難しくなり、痴呆症でなくとも、その時点での社会の情報を理解し、解釈して、自分の老後をそうしていったらよいかを判断する認知能力が低下していくと思う。

そうなると、情報を理解できないので判断できなかったり、昔の知識をもとに自分なりに解釈して判断することになりがちになる。

また、自分で判断したとしても、それを実行する行動力が伴わないことが往々に起こると思う。行動する気持ちはあるが、例えば、社会の仕組みや手続きを理解できないので、実務的な処理ができず、自分ひとりでは対応できないことが多くなると思う。

”ボケ”ていることが自覚できていれば、家族や他人の助けを求めることもできます。しかし、”ボケ”ている状態で、自分の”ボケ”を自覚できるでしょうか?

親を介護していると、自分が老いたことを受け入れてもらうことが一番難しいと感じる。

老いを受け入れるのに時間がかかり、老いることとうまく折り合いをつけることができないと対応すべきタイミングを逸してしまう。

そして、本当に”ボケ”てからでは、自分がボケていることが分からないので、一層、難しい状況になる。

年老いるのは、誰でも分かっていること、そして、その道筋もおおよそ分かっていることではないか?

老後対策として考えなければならないのは、老後の家やお金、介護や相続の問題。

数年の期間でこれらの問題に対する対策を立てることは難しい場合が多いのではないだろうか。そして、それらの準備は、“ボケる”前にスタートしておくことが必要ではないか。そうしないと、自分の子供や親族に大きな負担をかけることになりかねないと思う。

ただし、いつ“ボケ”始めるかはわからないし、”ボケ”始める時期には個人差があり、一概には言えないと思う。

しかし、こういう風に考えてくると、老後対策は、少なくとも”ボケ”る数年前にはスタートする必要があるというのが私の考えである。

もう一つの疑問は、パートナーを亡くした時のこと。

”パートナーを亡くした後、残された方の不安は大きい”という点、確かに”パートナーを亡くすのは、人間関係の変化のうちでも大きなものです。”には同感するが、”不安”については、少し違った考えをもっている。

しかし、逆にほっとする可能性の方もあるのではないか?

(次回に続く)

最後に1曲、荒井由実(松任谷由美)さんの「やさしさに包まれたなら」

荒井由実(松任谷由実)さんの懐かしい曲、そして、”魔女の宅急便”を思い出す。

絢香さんの歌声で聞いてみよう。

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