”人は誰でも最後は一人” ~ひとり老後の準備は、ふたり老後の時から始める~ 

最近発売された「ひとり老後、賢く楽しむ」という本を読み、ひとり老後を考える上で参考になることが多かったが、”パートナーを亡くした後、残された方の不安は大きい”という考え方は疑問に思った。

岸本葉子さんの『ひとり老後、賢く楽しむ』という本の中で、もう一つ受けいれることができなかったのは、”パートナーを亡くした後、残された方の不安は大きい”という考え方。

朝日新聞の連載“患者を生きる”の2019年10月8日朝刊、“遺族のうつ2 眠る”題する記事には、“とくに、夫や妻といった「配偶者」を失うことは人生最大のストレスで、遺族外来を受診する40%がうつ病と診断されている”と書かれています。

 

確かに”パートナーを亡くすのは、人間関係の変化のうちでも大きなものです。”には同感しますが、”不安”については、少し違った考えをもっています。

若いうちに“パートナー”を亡くした場合には精神的に大きなショックでしょうが、しかし、高齢者の場合には、逆の面もあるのではないでしょうか。

 

「ひとり老後、賢く楽しむ」という本は、女性読者を対象としていると思いますが、ひとり老後となるのは、平均寿命から考えて、女性の方が多いはずです。

以前調べた時、寿命の中位数で見ると、男性は約81歳、女性は約87歳、男女差は6年でした(https://mfworks.info/2018/11/02/post-141/)。

現在の平均介護期間は5年と言われており(https://mfworks.info/2019/01/19/post-146/)、平均寿命まで生きるとすると、介護が必要になる年齢は男性で73歳、女性で82歳となります。

モデルケースとして、夫婦年齢差3歳(夫年上)、夫は81歳、女性は87歳まで生きると仮定します。

夫は76歳で要介護の状態になり、その後5年間、介護が必要になります。

夫が要介護状態になった時の妻の年齢は、73歳。 それから、夫が亡くなるまでの5年間、妻は夫の介護をしなければならない可能性があります。

夫がなくなった時の妻の年齢は78歳、それから約10年間、ひとり老後の生活が待っています。

高齢者の妻から見れば、ひとり老後のスタートは、不安もあることは確かでしょうが、一方で、やっと介護生活から解放された時期と重なると考えることもできます。

妻がひとり老後をスタートする時点での最大の不安は、“お金”と“自分の介護”ではないでしょうか?

夫婦年齢差や寿命、何歳まで健康でいられるかはもちろん個人差が大きく、上記シミュレーションはあまり意味がないかもしれません。

しかし、女性の場合は、ひとり暮らしになる確率が高いことは分かっているのだから、ひとり暮らしになった時点でなにが起るか、事前に考えて準備して置いた方がよいのではないでしょうか?

確かに、前回取り上げた老後は人生の1割と考える考え方は、ひとり老後のスタート時期と一致しており、合理的かもしれません。

でも、80歳近くなって、お金のことや老後の住まいを考えるには“しんどい”し、新しい趣味等などスタートする“気力”を持っていられるかどうかの“不安”があります。

そうなると、夫の介護が始まって自分の時間の制約が大きくなる前から、ひとり老後の準備をすべきとなります。

そして、夫婦の時から、“ふたり”で“ひとり老後”の準備をスタートする方がよいという結論になります。“夫”がひとり老後になる可能性もあるのですから。

 

次回から、女性が一人暮らしになる年齢を、統計資料をもとにもう少し具体的に見ていきたいと思います。そして、男性が一人暮らしになる確率もあわせて考えてみたいと思っています。

最後に1曲、小田和正さんの”たしかなこと”。

たしかなこと – 小田和正

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