フィナンシャルプランナーが、多額の老後資金は必要ないと主張する場合の根拠の一つは、日本の社会保障制度は優れているので、過度に心配する必要はないというものである。
しかし、後期高齢者医療制度の負担割合を上がるなど、今後、医療費や介護にかかる費用の負担が大きくなったり、サービスの低下は避けられない状況にある。
日本の財政赤字は悪化しており、債務残高は、近々で対GDP(国内総生産)比で250%近くとなる見通しで、主要先進国の中で最悪の水準である。
この原因は、日本の国力が低下していることである。
日本の一人当たりの名目GDP(国内総生産)は、世界で25番目(2019年)である。
2000年には2番目まで順位を上げたが、その後、低下の一途をたどり、2013年には26番目まで下がり、以降は25番目前後のままである。
フィナンシャルプランナーが多額の老後資金は必要ないと主張する場合のもう一つの根拠は、日本の年金制度はそんなに簡単に崩壊するものではないということである。
5年に1回行われる国の年金の財政検証での将来の年金の給付水準予測が発表される。その予測の中央値は、日本の経済が発展するという前提となっている。
予測は現実の経済状況を反映していないと考えるのが普通ではないだろうか?