”人は誰でも最後は一人” ~ひとり老後の生活費;不足する老後資金をどうするか?~ 

“不足する老後資金をどうするか?“に対する答えは、結局、出来るだけ働いて収入や年金を増やすこと、さまざまな方法で生活費を節減すること、そして、住居を確保できるように資産や資金をマネージメントすることに尽きるように思われる。

ひとり老後となった場合に必要な老後資金を考えていこうと思った時、参考になる本が発行された。

本のタイトルは『おひとりさまの老後対策』で、著者は大村大次郎という方だった。

(https://www.amazon.co.jp/%E3%81%8A%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%95%E3%81%BE%E3%81%AE%E8%80%81%E5%BE%8C%E5%AF%BE%E7%AD%96-%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E9%A4%A8%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%A4%A7%E6%9D%91-%E5%A4%A7%E6%AC%A1%E9%83%8E/dp/4098253682)。

この本の内容を紹介しながら、不足する老後資金をどうしたらよいか考えてみる。

この本の最初の部分に公的年金制度について、半世紀以上前の社会状況をもとに設計された制度で、“夫婦”の老後を支えることが目的であったと述べられている。

そして、第1章は“高齢単身者の超厳しい現実”という見出しで、平均的な厚生年金をもらっている夫婦同士ならば心配ないが、高齢単身者の老後資金の落とし穴は“住居費”で、高齢単身者世帯の33.5%は賃貸生活をしている。

また、家計調査の資料では住居費の月額は、たったの1万3625円(著者は持ち家の固定資産税分に相当するのではないかと推測している)となっているが、持ち家であったとしても、耐震化やバリアフリーのための費用は考慮する必要がある。

また、老後資金として介護費用を考慮しておく必要性を指摘している。

ひとり老後の生活に必要な費用のケーススタディーも紹介されており、不足する資金を補う対策として、第2章は、“とにかく所得と年金を増やせ!”となっており、毎月、足りない5万~8万円分を稼ぎ出せば老後は安心という結論になっている。

上記したように、著者は、老後の生活で鍵を握るのは持ち家で、“第4章 終の棲家をどうしますか?”では、“一生賃貸生活は老後破綻への入り口“として、高齢単身者が生涯賃貸住宅に住み続けるというのは、非常に難しい面がある、高齢単身者にとって持ち家は最大のセーフティーネットであると説明されている。

“非常に難しい面がある“というのは、貸主が高齢者に部屋を貸したがらないので、借りること自体が難しくなるという意味である。

太田垣章子さんの著書『老後に住める家がない!』には、高齢者が住む家を借りられない現実が紹介されている(https://www.amazon.co.jp/%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%98%EF%BC%93%EF%BC%89%E8%80%81%E5%BE%8C%E3%81%AB%E4%BD%8F%E3%82%81%E3%82%8B%E5%AE%B6%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%84%EF%BC%81-%E3%83%9D%E3%83%97%E3%83%A9%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%A4%AA%E7%94%B0%E5%9E%A3-%E7%AB%A0%E5%AD%90/dp/4591165949/ref=pd_lpo_14_img_1/355-0401782-6392700?_encoding=UTF8&pd_rd_i=4591165949&pd_rd_r=6c7ffc44-0ca0-475b-825c-e7d3448da914&pd_rd_w=ASIFv&pd_rd_wg=WLuWv&pf_rd_p=4b55d259-ebf0-4306-905a-7762d1b93740&pf_rd_r=ZKC2393Y5AM9G9G08H9E&psc=1&refRID=ZKC2393Y5AM9G9G08H9E)。

この本の第5章“賢いダウンサイジングで生活防衛”には、固定費の見直しで生活費を節約する方法が提案されている。

具体的には、自動車や自動車保険、通信費(格安スマホ利用)、新聞代(図書館利用等)、水道光熱費(節水型シャワーヘッド、電力自由化にともなう電力会社の選択)、死亡生命保険や医療保険(必要最低限にする)、公共施設の利用(図書館、スポーツジム、習い事)、地域行政サービス(耐震、バリアーフリー工事)、国民健康保険の減免制度が例として挙げられている。

そして、“25年間で2400万円削減可能”と結ばれている。

2019年の新聞記事に、金融庁の報告書『高齢社会における資産形成・管理』(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)の内容として、老後の蓄えは、1300万~2000万円が必要という記事がある。

2400万円削減可能であれば、節約生活すれば、老後資金不足は解消できると思えてくる。

本当にそうだろうか?

この本に書かれている“2400万円削減可能”の意味は、“都心暮らしの人が仮に車を手放したうえで、あらゆる節約術を駆使すれば毎月8万円ほどの節約も可能です”というように読める。

そうだとすれば、都心暮らしであっても車を所有していない人はどうなるのか、車が生活必需品となっている地方(都市)に住んでいる人は削減できないことになるのか?

もう一つ付け加えれば、公共施設の利用は、施設が充実している地区に住んでいればよいが、施設利用がままならない地区の住んでいる場合には施設利用による節約は難しいのではないかと疑問が湧いてくる。

第5章“賢いダウンサイジングで生活防衛”で挙げられている節約方法は、以前、“26.節約したら、2000万円の貯蓄無しで、年金だけで暮らせるか検証してみた。”(https://mfworks.info/2019/07/03/post-1374/)で取り上げた『年金だけでも暮らせます』(https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-84205-9)という本の結論、

・正確な情報を得て、現行の制度を活用すること

・出費を抑えて、現金を減らさない

と同じである。

そして、『年金だけでも暮らせます』という本の中で出費の切詰め方として挙げられている方法として、食費、日用品費、衣類・美容費、娯楽費、交通費、教育・教養費、医療費、交際費、こづかい、住居費、電気代・ガス代、水道代、通信費(携帯代を含む)、民間保険料が例として挙げられているが、『おひとりさまの老後対策』でも同じようなものである。

つまり、“ひとり老後“の生活資金不足に特別に有効な方法があるわけではなく、節約による地道な方法になるという。

高齢者のひとり老後の生活資金で一番大きな問題は、“住まい”のように思われる。

高齢者の部屋の賃貸契約が非常に困難だとすると、”高齢単身者にとって持ち家は最大のセーフティーネット”となる。

しかし、持ち家であっても、ひとり老後になると住居費の負担は大きくなる。

“おひとりさまの老後対策”の著者は、家計調査の住居費を固定資産税ではないかと推測したが、固定資産税は別に分類(非消費支出)されており、実際は、家賃地代と設備修繕・維持の費用である。

固定資産税と住居費は、ひとり老後になっても、ほとんど変わらないと考えられる。

夫婦二人暮らしから、ひとり暮らしになっても、持ち家を維持するために要する費用は半分になるわけではない。

また、高齢化にともなうバリアフリーの工事費用が当然必要になってくる。

さらに、高齢化でひとりで生活できなくなり、介護が必要になる。

『おひとりさまの老後対策』の本の中では、住居対策について、持ち家を売って、シニア向けマンションに住む方法や、資産のない人は老人ホームに入居する選択肢が紹介されている。

老後資金の心配は、最後には、終のすみかをどうするかという問題につきあたる。

“不足する老後資金をどうするか?“に対する答えは、結局、出来るだけ働いて収入や年金を増やすこと、さまざまな方法で生活費を節減すること、そして、住居を確保できるように資産や資金をマネージメントすることに尽きるように思われる。

読んでいただき、ありがとうございます。

最後に1曲、あいみょんの”マリーゴールド”

あいみょん – マリーゴールド

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