老後の主な収入は年金、年金支給額によって、準備すべき老後資金も変わってくる。現在の男性の厚生年金は平均１７万円、女性は１０万円。しかし、個人差・年齢差が大きい。男性で最も受給者数の多いのは１８～１９万円、１９～２０万円もほぼ同じ人数。また、年齢が若いほど年金額が少ない。平均値で計算するのは危険。

日経スタイルの記事では、老後の収入を年金のみとし、厚生労働省が想定するモデル世帯の支給金額月２２万円の１割減としている。
一方、週刊朝日の記事では、収入を総務省「家計調査年報」２０１６年の高齢夫婦無職世帯の収入は「２１万２８３５円」とし、収入の大部分「１９万３０５１円」が年金ということである。いずれの記事においても、収入は年金が基本となっている点で同じである（https://mfworks.info/2018/10/25/post-139/）。

そこで、現在、国からの支給されている年金額を調べてみた。

Contents

1 一人当たりの年金支給額
2 次に、男女別に見てみよう。
3 最後に１曲、AKB４８の「恋するフォーチュンクッキー」

一人当たりの年金支給額

国の公的年金は、基礎年金である国民年金と、会社員や公務員などでは国民年金の上乗せとして過去の給与と加入期間に応じた報酬比例年金を受け取る制度になっている。
（厚生年金と国民年金　https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/seido-shikumi.files/LN13.pdf）。

「平成２８年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」で国民年金と厚生年金の一人当たりの支給額を調べてみた（https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/H28.pdf）。

国民年金受給者（厚生年金保険の受給権を有しない老齢基礎年金受給権者）の老齢年金の平均年金月額は、平成２８年度末現在で５万５４６４円。

一方、厚生年金保険受給者の平均年金月額（基礎年金月額を含む）は、平成２８年度末現在で１４万７９２７円。厚生年金のみは１０万２９１４円　（日本年金機構の主要統計(平成28年度版　http://www.nenkin.go.jp/info/shuyotoukei.files/28.pdf）。

年齢別老齢年金受給権者数及び平均年金月額は、以下のように、厚生年金は高年齢の方が金額が多い。

	厚生年金保険	国民年金
全体	145,638円	55,373円
６５歳	145,557円	56,699円
７９歳	161,205円	56,680円
８９歳	170,665円	51,799円

法律改正された際、年金制度が新しくなった1985年4月1日の時点で何歳であったかで、年金額の計算の際に使われる係数（給付乗率）に違いができ、この給付乗率の違いにより、2017年4月1日で71歳以上の人の年金は、70歳以下の人より多くなっているとのことである（
「厚生年金の受給額、月いくら？年齢によって、こんなに違った」
https://www.huffingtonpost.jp/2017/06/28/story_n_17327852.html）。

次に、男女別に見てみよう。

国民年金受給者の平均年金月額は、男性で５万１２５７円、女性で４万９８６３円。

男性で最も受給者数の多いのは、６万円以上～７万円未満（全体の約４４％）で、次いで、５万円以上～６万円未満（約１９％）、４万円以上～５万円未満（約１５％）の順である。

一方、女性で最も受給者数の多いのは、６万円以上～７万円未満（全体の約２４％）、次いで、３万円以上～４万円未満（約２２％）、５万円以上～６万円未満（約２０％）の順。

これに対して、厚生年金保険の男女別の平均年金月額は、男性１６万６８６３円、女性１０万２７０８万円。
男性で最も受給者数の多いのは、１８万円以上～１９万円未満で（全体の約８．３％）、次いで、１７万円以上～１８万円未満（約８．１％）、１９万円以上～２０万円未満（約８．０％）の順になっている。
一方、女性で最も受給者数の多いのは、９万円以上～１０万円未満（全体の約１６％）、次いで、８万円以上～９万円未満（約１３．８％）、９万円以上～１０万円未満（約１３．７％）の順となっている。

日経スタイルの計算で採用された厚生労働省が想定するモデル世帯の支給金額は月２２万円である。
計算の前提となったモデル世帯（夫が平均的収入で４０年間就業、妻はその期間専業主婦の条件のようだが）で、夫が厚生年金受給者、妻が国民年金受給者である場合、上記した平均月額で支給額を計算すると、２１万６７２６円（夫１６万６８６３円、妻４万９８６３円）になり、上記２２万円に近い数字になる。

しかし、年金月額の全体の平均と、受給者数の多い年金の月額とは、かなり差がある。

共働きだったかどうかなど、それぞれの家庭の状況によって、一家庭当たりの支給金額には月数万円程度の幅が出てくることになる。

読んでいただき、ありがとうございます。