”人は誰でも最後は一人” ~薬に依存する寿命~

健康で長生きしたいと、誰でも思う。しかし、長生きすれば、必ず老化による身体機能の低下が起こる。身体機能の低下を改善したいと思って、医者にかかり、薬を投与される。その結果として、生きていく上で薬がなくてはならなくなる。そうして長らえた命をどう充実させるか問われる時代になったのではないか。

年齢を重ねると医者に行かざるを得なくなる。

コロナ禍で医者に行くのを控えているという話しを聞く。医者の診察が本当に必要な場合はもちろんあるが、なんとなく不安で医者に大丈夫だというお墨付きをもらいたいがために受診する場合もあるのではないか。

年齢が高くなると、老化が起こり、特に疾病がなくとも、老衰で死亡することになる。

統計的には、男性女性とも85歳~89歳では、老衰が第5位の死因である。

(”人は誰でも最後は一人” ~男性が”ひとり老後”になる確率~

https://mfworks.info/2020/01/22/post-1645/

老衰に至る前には、加齢と関係すると思われる“病気”に罹る。

実際、いろいろな病気に罹る確率は、70歳を越えると高くなる。

(”人は誰でも最後は一人” ~ひとり老後の生活費~ 医療費の負担は大きくなる

https://mfworks.info/2020/03/30/post-1703/ ‎)

外来受療率は、 60~64歳では、人口10万人当たり、約6,000人であるのに対して、75歳以上では約12,000人と倍増する。

老化が原因となる身体機能低下

75~79歳で最も気になる病気の上位5つは、以下のようである。

第1位   高血圧、第2位  糖尿病、第3位  腰痛症、第4位  眼の病気、5位  狭心症・心筋梗塞

70歳以上では、高血圧有病者が約7割にも上る。

75歳以上になると腰痛症や眼の病気が上位に来る。

腰痛症に関連して、骨粗しょう症について見てみると、腰椎で見た骨粗しょう症の年代別有病率は、70歳以降で急激に増加する。女性70~79歳での大腿骨頸部での有病率は50%程度にもなる(骨粗しょう症ガイド > 高齢化と骨粗しょう症 https://www.takeda.co.jp/patients/osteoporosis/aging/index.html)。

眼の病気と言えば、代表的なのが、白内障。

加齢性の白内障は、50歳代で4~5割、60歳代で7~8割、70歳代で9割前後、80歳以上ではほぼ100%である(白内障と白内障手術 http://www.asahi-net.or.jp/~pd2k-nim/basic/)。

歯の病気も年齢とともに気になるのではないだろうか。

抜歯するのは、65~69歳が最も多いということだが、抜歯全体の45%は、60~80歳の間に行われている。

最期に、身体的機能というべきかはあるが、年齢とともに気になる認知症について見てみると、75歳以上では認知症の有病率が顕著に増加し、75~79歳では13.6%である。

老化は薬で治療できるか?

”フレイル”という考え方がある(”人は誰でも最後は一人” ~長生きリスク お金~

https://mfworks.info/2021/01/30/post-1797/)。

高齢者が加齢とともに機能低下する危険性がある身体状態であっても、適切なケアをすれば、健常レベルへの機能回復が可能とできる状態があるという考え方である。

しかし、中年期~高年期に発症する疾患を根治する方法も予防する方法もほとんど見出されていないし、臓器のフレイル段階での有効な老化制御の方法は見出されていない(”老化と老年病 ” 2020 東京大学出版会)。

白内障のように、手術によって、人工的な機能代替できる眼内レンズによって、機能回復できる場合がある。しかし、老化が原因となる身体内蔵の機能低下が原因であるとすると、人工的な臓器を使って機能回復ができない場合は根本的な治療は、治癒を目的にするものではなく、機能低下を抑制するような一般的は対症療法にならざるを得ない。

その結果、薬の投与となる。

老化が原因であれば、いったん服用を開始すると、改善はするかもしれないが、結局命が果てるまで服用し続けなければならない。

さらに、年齢とともに機能低下する臓器は増えていくわけだから、飲み続ける薬の種類は増え、しかも、より強力な薬に移行していくことになる。

衰える体に薬で鞭打って頑張っていることになる。

これは、薬に依存して生きている状態と言えるかもしれない。

昔は治癒できなかった疾病が新薬によって回復できるようになったことは本当にすばらしいことだ。しかし、老化は回復の見込みがないのに、薬で命を長らえていることは、はたして、これがしあわなことだろうか

先日NHKの放送で、死は生きることの中にプログラミングされているつまり、人はかならず死をむかえる薬によって長生きすることは、自然に逆らっている面もあるということになる。

医学の進歩によって、以前より快適な生活が可能にあった 長生きできるようになったことは間違いないが、薬で長らえた命をただ死の先延ばしにせず、どう充実したものにさせるかが問われている。

単に医療費を使うためだけだっただけはしたくないと思う

最後に1曲、森山直太朗さんの”さくら”。

森山直太朗-さくら

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