フィナンシャルプランナー(FP)に老後のお金の不安を相談した場合、30年間もお金の価値が変動しないことを前提にした老後資金を計算しているように見えるが、価値変動を考慮しなくてよいのか?年金や生活費も10年後でさえ同じとは思えない。
フィナンシャル・プランナー(FP)の資格については、以下をご覧ください。
https://mfworks.info/2018/10/12/post-137/
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将来必要な資金を算出する場合に、必要額は環境によって変動すると思う。
しかし、
フィナンシャル・アドバイザーは、
加減乗除だけの算数で済むような計算式で出した数値をもとにアドバイスしているが、
本当にこういう形の試算で大丈夫なのか心配になった。
以前、仕事で、企業価値を算出する方法を勉強したことがあった。
企業の価値は、将来のキャッシュフォローを予測し、
予測した将来キャッシュに割引率をかけて、
つまり、現在価値に換算して算出するのが一般的である。
(たとえば、https://www.tabisland.ne.jp/tdb/kiso/kiso_004.htm)
企業価値の場合と老後資産の考え方はもちろん違うが、
同じ5000万円の資産を保有していたとしても、
現在と30年後では、その価値が異なっているはずである。
フィナンシャル・アドバイザーは、
現在の収入と現在の支出をもとに計算しているようなので、
加減乗除の算数レベルの計算で答えを導き出すことができる。
つまり、
計算の前提として、
現在価値=将来価値という図式が根本にあるように思われる。
しかし、10年先でも現在と同じとは考えにくい。
むしろ、変わると考えるのが普通と思う。
企業の将来価値の計算はせいぜい10年先までだから可能かもしれないが、
人生100年時代となると長期の予測が必要となる。
たとえば、10年単位でいいので
収入と支出の変化を考慮した老後資金の計算であってほしいと思う。
将来変化を考慮することは、実際、困難なので、
現在価値=将来価値として計算せざるを得ないのだろうか。
もう一つ、フィナンシャル・アドバイザーの考え方で気になったのは、
老後資金を算出するために使っている「支出」の金額だった。
(3)で取り上げた深田さんは、
家計調査年報の「高齢無職夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)の
家計収支に記載されている2016年の
収入257万円、支出332万円、家計費マイナス75万円を
もとにして、必要な老後資金は3000万円と計算している。
収入が年金のみの場合、
人でそれほど大きな違いはないと思われるので、そうなると
必要な老後資金の違いは、支出の違いによるものになる。
年間支出332万円は、月にすると約27.7万円。
自分の実感からは月27~28万円はかなり金額で、
この前提条件そのものが適切かどうか気になった。
同じような疑問をもつ方もいて、
「わが家に必要な老後資金はおよそ100万円程度でした。」という結論の
ブログもある(http://www.sekkachi.com/entry/rougohatan_FP)。
(4)で取り上げた八ツ井さんは、
老後資金の計算方法は深田さんと同じだが、
前提条件しだいで計算結果は大きく変わり、300万円の場合もあれば、
1000万円台後半に落ち着くケースもあったと書かれている。
そう考えると、
フィナンシャル・プランナーに、
「人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、
経済的な側面から実現に導く方法」を相談するのであれば、
フィナンシャル・プランナーの回答を鵜呑みにするのではなく、
回答がどうやって導きだされたのかの前提条件を
よく理解した上で、
アドバイスを受け入れる必要があると思う。
次回からは、
老後資金として一般的に必要とされる金額を算出する時に使っている
収入と支出の前提条件を、ひとつずつ確認していきたい。
読んでいただき、ありがとうございます。
最後に1曲、Julie Berganの”Arigato”
Julie Berganはノルウェーのシンガーソングライター。
「Arigato」は、日本語の「ありがとう」のようだ。
Julie Bergan – Arigato
日本語字幕版